金沢大学理工学研究域物質化学系生物化学研究室

Research Project 03

Blue copper proteins & Ferredoxin NADP reductases

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更新日 2017-02-19

Blue Copper Proteins

 
 ブルー銅タンパク質は呼吸系や光合成系の酵素系とカップルして電子伝達にたずさわっています。また,光合成植物のラジカルスカベンジャーとしても機能していると考えられています。われわれは原因不明のブルー銅アルカリ遷移に関する研究や,電子伝達機能しか有さない銅中心を,プロテインエンジニアリングによって触媒機能を有する反応中心に変換する(既存のタンパク構造を土台とした人工酵素を作成する)研究を行っています。
 

Protein Engineering of Mavicyanin

 
mavi.jpgMavicyaninの単結晶 ズッキーニに含まれている低分子量ブルー銅タンパク質マビシアニンは,生理的役割はわかりませんが銅の酸化還元による電子伝達を行うことができます。これまでに我々はマビシアニンの高発現系を構築し,その結晶構造解析に成功しています。このマビシアニンの銅部位を,構造情報に基づいて他の銅含有タンパク質(銅酵素)の銅活性中心に改変し,新規機能を発現させる研究を行っています。
 
 
Mav_red01.jpgマビシアニンのブルー銅部位 また,放射化学研究室横山教授と共同で,ガンマ線摂動角相関(PAC)法によりマビシアニン銅部位の超微細磁場を測定し,銅部位の電子状態や構造を探る研究を行っています。
 

 
 

Ferredoxin-NADP Reductase

 
 Ferredoxin-NADPH酸化還元酵素(FNR)は,低分子鉄硫黄蛋白質ferredoxinとNADPH間の酸化還元反応を触媒する酵素で,補欠分子族としてFADを持つフラボ蛋白質です。Fdの還元は生物にとって必須な反応で,窒素固定,グルタミン酸合成,解毒などさまざまな反応に寄与しています。我々が緑色硫黄細菌Chlorobium tepidum及び枯草菌Bacillus subtilisから単離したFNRは,これまで報告されている植物,ミトコンドリア,大腸菌などのFNRとはアミノ酸配列レベルでの相似性が極めて低く,NADPH-thioredoxin還元酵素(TR)と極めて相似性の高い新奇なFNRです。TRはジスルフィド還元酵素ファミリーに属する酵素で,似たアミノ酸配列・立体構造を持つ同属酵素には,グルタチオン還元酵素,水銀還元酵素などがあり,全て同一起源を持つと考えられています。これらの酵素に新たにFNRが加わったことは,酵素の分子進化を考える上で興味深く,まだ機能の同定されていない同類の酵素の帰属に貢献できると考えられます。また生物に普遍的にFNRが存在することは, FNRの分布と機能が生物進化を考える上で重要な研究対象であることを意味しています。私たちは新奇FNRを材料として,部位特異的変異の導入と反応速度論的研究に基づくFd及びNADPHとの反応様式の解明,さらに同属酵素における未同定FNRの存在の確認と,X線結晶構造解析による立体構造の解明を目指しています。

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